Jane Birkin @ Bunkamura Orchard Hall

生日に1人でジェーン・バーキンのコンサートを鑑賞・・・という、この上ない至福の一時を味わってまいりました。べ、べつに寂しくなんてないんだからね!!

1F席を除くと意外にも空席が目立ったものの、ジェーンの来日公演は必ず毎回訪れているのであろう女性客が多いこと多いこと。年齢は僕の倍以上(年収はおそらく20倍以上)と思しきマダムが大半で、男性もスーツ姿がビシッときまった洒脱なオジサマばかり。オーチャードホールは初めてだったが、ホテルのロビーのようなクロークがあったり、お花の受付専用カウンターがあったり、座席案内係が配置されていたりと、かなり場違いな感は否めなかったですが、快適なのは間違い無い。また、入り口で貰った今後の公演のフライヤーなんか、99%は自分に縁の無いものばかりだった(笑)。

さて、場内でもアムネスティへの募金を募っていたように、アウン・サン・スー・チーさんの解放活動に積極的なジェーン。開演前には、ステージ上にもスー・チーさんの立て看板が置かれていました。ゆっくりと暗転(お客さんがまったく騒がない!)し、まずは全身ブラックで統一したバンド・メンバーが登場する。左からグランドピアノ&シンセ担当の男性、弱冠19歳(!)の女性チェリスト、恰幅の良いベーシスト、ウクレレやバンジョーまで操る凄腕ギタリストという、プロフェッショナル4名がしっかりとバックを支える編成。優しい笑みを浮かべながら袖からジェーンが現れると、万雷の拍手が巻き起こる。グレーのスラックスに胸元がラフに開いた白シャツ、サスペンダーを片方だけ腰から足らし、ボトムと同色のジレを羽織ったルーズかつボーイッシュなスタイル。首に巻いたスカーフはやはりエルメスでしょうか? 62歳という年齢が嘘のように凛とした立ち姿と、繊細な舌足らずヴォイスは今だ健在。場内の空気を一瞬にして変えてしまう唯一無二のオーラを放ちまくっておりました。

昨年発売の新作『冬の子どもたち』を携えてのツアーとのことだったが、もちろん過去のセルジュ・ゲンズブール曲も惜し気無く披露してくれたわけで、念願の“想い出のロックン・ローラー”を生で聴いて確信したことが一つ。マイロの“ロックンロールを破壊せよ”、ウィーザーの“ハート・ソングス”、ダン・ル・サックvsスクルービアス・ピップの“Thou Shalt Always Kill”、Qティップの“ライフ・イズ・ベター”などなど、近年、アーティストやバンドの名前を歌詞に列挙(大概はリスペクトだが)することで、メロディーを築き上げるナンバーが目立つような気もするのだけど、これって、セルジュが最初だったのでは? いや、もしかすると他にもあるのだろうけど、30年も昔からエッジと才気が迸りまくりなセルジュに、改めて敬意を表したい。

その後も“虹の彼方”、“コワ”など次々飛び出す代表曲に拍手も大きくなっていったが、結局、昔の楽曲だけが良かったのかよといえば、当然そんなことはない。中盤、不穏な調べに乗せて歌われた“アウン・サン・スー・チー”における、情報量過多なアムネスティ・レポートをカンペ無しのソラで読み上げるシーンは、先ほどまでの穏やかな雰囲気から一転、鬼気迫るものすらあった。「アウン・サン・スー・チーさんは死んで/よく売れるTシャツの絵柄になるでしょう」という歌い出しは強烈。パティ・スミスにも通ずる意志の強さを思わせた。その人物の活動や歴史を何も知らずに、「恰好いいから」という理由だけで、チェ・ゲバラのTシャツを着てしまうような軽薄な日本人には、実に耳の痛いメッセージでもある。まだまだ知らないことや、知らなければいけないことが、山のようにあるはずだ。と、オーチャードホールにて自戒を込めるのであった。



そして、終盤は再びチアフルな暖かいステージへとカムバック。天国のセルジュへだけじゃなく、スポンサーや関係各社へのお礼のメッセージを伝えるシーンがあったり、“哀しみの影”では、なんと電飾があしらわれた傘を掲げ歌いながら客席(2F席含め)まで降りて来るという一幕も! これにはさすがに、年輩の女性客も大興奮のご様子。とにもかくにも、ジェーン・バーキンの魅力と現役っぷりを肌で感じた2時間強。アンコール終了後に、続々とステージに駆け寄って花束やプレゼントを渡す女性たちを見て、永遠のミューズなんだなあ・・・と、感動すら覚えました。そうそう、字が可愛いことでも有名な、福島み●ほ議員もいらしてたようですよ。

P.S.
紆余曲折を経て、サインもらいました(福島議員じゃなくてジェーンな)。今年唯一の誕生日プレゼントとして、家宝にしたいと思う所存であります。

Au Revoir Simone @ O-nest

ーボードと戯れるヴァージン・スーサイズ。
そんなキャッチコピーがピッタリの3人組でしたね、まさしく。

メイン・ヴォーカルが入れ替わり立ち代わりしながらも、一糸乱れぬ美しいコーラスワーク。もちろん本人たちも死ぬほど美しいわけだが、来日も4〜5回目とあってか、日本語MCがやたら饒舌でビックリ。楽器もキーボードだけでなく、ドラムマシンやシンバル、タンバリンなどで躍動感を添えつつも、“シャドウズ”のようなダークトーンのナンバーでは、エリカ・フォスターがベースを担当したりもする芸達者ぶり。ロングヘアー(最高!)という共通点以外、顔立ちも個性もまるで違うトリオが、本当に仲良さそうにジョークを飛ばしながら、哀愁たっぷりのフレーズを奏でたりするギャップもまたいいね。

バンド名やフォトジェニックな佇まいからして、おフランスの人たちかと思う者もいるだろうが、意外にも彼女たちの出自はNYのブルックリン。バトルスやブラック・ダイス、アニコレにMGMTなど前衛音楽集団の坩堝というイメージがすっかり定着したかの地ではあるが、こんな才色兼備なバンドが生まれる土壌もあるということか。懐が広いぜ。そもそもコンピアルバム『KITSUNE MAISON』や、フレンドリー・ファイヤーズの屈指の名曲“パリス”にコーラスで参加していることからも窺えるように、エレクトロニカからインディ・ダンスまで人脈は非常に幅広く、業界人からのラブコールも絶えないオ・ルヴォワール・シモーヌ。現にあのデヴィッド・リンチがフェイバリット・バンドとして名前を挙げているし、アニエス・ベーもいたくお気に入りのようで、今回の来日でも青山のショップイベントにDJとしてゲスト出演したらしい。

終演後、エントランスにてお客さんのサインや写真撮影に応えてくれたメンバーたち。とりわけ日本語が流暢だったアニー・ハートに、「なんでそんなに日本語が上手なのか?」と尋ねてみたところ、数年前から日本が好きで熱心に勉強していたらしい。うれしいこと言ってくれるじゃないの。僕もご多分に漏れずCDにサインを貰ったわけですが、なんと、エリカとヘザー・ディアンジェロ(響きがカッコイイな)は名前がカタカナ! 「エリカ」が「エリサ」になっているのはご愛嬌だが、好感度あがるわー。そろそろ<フジロック>あたりにも出演して、もっと爆発的に売れてくれてもいいんだけどね。その素質は充分すぎるほどにある。

それにしても、前座のGutevolkは音もVJも面白いし悪くなかったんだけど、ちょっと長過ぎたな(ただでさえ、開演が21:00前)。しかし、途中で出て来たダンサーの女の子が『Olive』系の森ガールな雰囲気で、屈託ない表情で踊りまくっていてすげえ可愛かった。つまり、音楽の印象があんまり残っていない……。しかし、調べてみたらこの西山豊乃(にしやまひろの)さんという女性、凄い方みたいですね。竹村延和にも詞を提供しているとは! 日本国内にも、まだまだ面白い音楽はごまんとありそうです。

metamorphose'09

外にも初参加となりました、<メタモルフォーゼ>。忘れていた残暑を取り戻すかのような厳しい暑さにやられつつも、鈍行に乗りゆったりとレイドバック気味に熱海方面へ揺られる。セバジュンを聴きながら伊豆の海を見下ろす俺、オッサレーと悦に浸っていたら、あっという間に到着。その後は知人のクルマで会場のサイクルスポーツセンターまでドライヴ。キャンプエリアに足を踏み入れたころにはすっかり日も沈み、テントがまったく上手に設営できませんでしたが、穏やかな気候と、皆既日食よりも満足度の高い完璧なフル・ムーンに照らされた場内は実に神秘的で快適でした。以下、しっぽりとレポート。

ゆらゆら帝国
寝坊&渋滞&テント設営によりまったく観られず、BGM代わり。

Bill Laswell presents METHOD OF DEFIANCE
DJ KRUSHを迎えた、ゴリゴリのヒップでホップなステージ。アジテーション最強。

NUJABES featuring UYAMA HIROTO
<プラネット・ステージ>が遠い上にマジで人大杉。姿すらほとんど確認できず。

GAISER
<ルナー・ステージ>がこれまた超遠い・・・。ありものの施設を使っているため、元々雨天時の逃げ場が多いメタモですが、唯一の完全屋内ステージ。湿気ムンムンで熱すぎ。どんなDJプレイだったかはまったく覚えてない。

TANGERINE DREAM
2009年度の夏フェス最大の事件となった、約25年ぶりのまさかの再来日。オーディエンスの平均年齢をぐっと押し上げた張本人である彼らのフル・セットのライヴは、<フジロック>のホワイト・ステージにも通ずる敏腕PAによる上質サウンドや、レーザービームとスモークの演出も手伝って、まるで大作SF映画のような壮大なスケール。曲名なんてまったく知らないが、大いに楽しませてもらいました。黙々とシーケンサーやキーボードをいじり続けるエドガー・フローゼ御代もヤバいが、ライト・ハンドからスライド、超絶アルペジオまで駆使するセンターのギタリストもヤバい。そしてさらにヤバかったのが、後方に陣取った金髪姉ちゃん2名。左の女性はシンセと管楽器担当で、時折ステージ前方まで出て来て哀愁たっぷりのクラリネットを奏でたりする。過剰装飾の帽子に、キラキラとスパンコールがあしらわれたサイバー・ゴシックなドレス(もちろん、全身黒)を纏ったそのお姿は、メーテルか魔女か貴婦人か? といった塩梅で、この世のものとは思えない神々しさ。方や右の女性は、ハーレーの似合いそうなタイトな服装で、電子ドラムからコンガなど打楽器全般をパワフルに叩きまくっていた。ちなみにこちらの女性、出番終了後は会場のあちこちで目撃したのだが、翌朝7:00台のスミス&マイティの時にもガッツリ踊っていたのでビックリ。元気すぎ(笑)。

PREFUSE 73
タンジェリンのアンコールが盛り上がり時間も押していたので、ジャイルスは諦めてそのまま<ソーラー・ステージ>で待機。当然、最前列ゲット。が、しかし。出演発表時には「待望のバンド編成でっせ!」とアナウンスされていたから超期待していたのに、ステージに運びこまれたのはMacやMPCなどお馴染みの機材が載ったテーブル1台のみ。メンバーはスコット・ヘレンとサポートの2名だけで、バンドはおろかVJすら無しのシンプルなセット。なんだか安く仕上げられちゃったなーとは思ったが、さすがにカッコよかったですよ。ブルーの半袖シャツにビーニーと眼鏡といういつも通りのスタイルで、常にマイクを片手にヴォイス・エフェクトかけまくり。新譜の『Everything She Touched Turned Ampexian』を中心に“Beaten Thursdays”など過去のナンバーもカットインしつつ、なんと、コーネリアスの“Gum”を投下したのにはビックリ。好きだったのね。情報量過多で濃密な1時間ではあったが、この規模なら3月のプロモーション来日時にTOKYOオンリーでプレイしてくれれば良かったのに。<エレクトラグライド>で帰って来てもらって、バトルスのジョン・ステイニアーとの共演を熱望します。

RICHIE HAWTIN(MINUS, Berlin) visuals by ALI DEMIREL
ド派手なSEと共に降臨したリッチー。フルでは観ていませんが、原点回帰を思わせる徹底したミニマルづくしのセットだったらしい。“スパスティック”でスコパコしたかったー。

'DJ AFRIKA BAMBAATAA'
こちらも10分ほどしか観ていませんが、MJからJBからオールド・スクールのHip-Hopまで、ベタながらもアゲアゲのセットだったご様子。

MOODYMANN aka Kenny Dixon Jr
センス良過ぎ。あいつ絶対に中身黒人だろ(失礼。黒人でした)、というぐらいソウルでファンキーなセット。<フジ>で観たサニーJと同じくらいの、ブラック・ミュージックへの造詣と愛情を感じた。

LOTUS
ドタキャンのSTS9の代打でホームランどころか、MVPクラスのパフォーマンス。インスト好きにはたまらん。「オーガニック・アンビエント・トランス・ファンク」って、言い得て妙ですね。日本のROVOよりもよっぽどトランスできたし、徐々に月明かりから太陽光に切り替わる早朝の時間に、ばっちりハマっていました。次回は<フィールド・オブ・ヘヴン>のトリを!

SMITH & MIGHTY
ブリストル音楽の信者は絶対にマストでしょう! と第1弾の出演発表時から楽しみだったものの、富士山すらクッキリと拝めるピーカン空に雰囲気がマッチせず、いまいち。<TAICOCLUB>でのマトモスみたいなアクトは、明るい時間帯でも合ってたんだけどね。ビースティーの使い方とか、さすがに上手かったけど、椅子に座って子守唄代わりにうたた寝。最後まで観ずにソーラーに戻ってしまいましたが、ラストの怒濤の名曲オンパレードが大変素晴らしかったらしい。しくじった。

REI HARAKAMI
やはり『あさげ』中心のセットだったのでしょうか? 半分ほど聴いて、テントを撤収して退場。

それにしてもメタモ、ステージ間の移動といい、近辺の街といい、何でこんなに坂と階段が多いんだ・・・。楽しかったけど、滅茶苦茶疲れましたよ。

総括しますと、<タイコ>ほどの快適さは無いもののブッキングは毎年素晴らしいし、一部のキチ●イを除けば客層も悪くない。徹底したデポジット・システムの効果もあってか、ゴミ箱の少なさに対して地面に散乱したゴミもそれほど気にならなかった。スタッフの人数も最小限だったし、メインの<ソーラー>のステージと柵の間にはセキュリティすらいない(まあ、ポリスは数名いたけど)。これは10年もやり続けたからこそ、主催者とお客さんとの信頼関係がきっちり構築されている証拠なんだろうなあ。余計な出費を減らせば、その分、より豪華なアーティストを呼べるわけですからね。最近、お塩テンテイや海苔P事件もあってか、世間では「野外フェス」「野外レイヴ」を悪しき存在として槍玉に挙げる傾向が窺えるけども、そういったイベントに行ったこともない、何も分かっていないメタボルフォーゼなオッサン&オバハン共がほざくなっつー話だよね。タンジェリン・ドリームのためだけに、あの日、たった1人で若者だらけの会場に迷い込んだ、プログレ・オタクのおじさん達の方が、よっぽど健全だと思います。というわけで、MAYURI様、来年も期待しております。

SMAPを見た!

曜日のお昼の出来事。

いつも通り原宿のオフィスで仕事中、外から悲鳴のような黄色い歓声が聞こえたので、窓から街を見下ろしてみる。どうやら、SoftBankショップ表参道にSMAPメンバー全員が集結したらしく、新作のCM撮影が行われていました。1人あたりの経済効果が半端じゃないこの5人を揃って拝めることなんて滅多に無いので、そこは流石に職権乱用して覗きに行きますわな。だって、スーパースターですよ? スーパースター。これがNE●Sとか平成ナントカならどーでもいいんだが。

よくよく考えてみると、水曜日はシンゴちゃん(a.k.a. 両さん)、中居くん、草彅くんの3名とも『笑っていいとも!』のレギュラー出演とは外れた日なんですね。思わず、アルタに間に合うのか心配しちゃいましたよ。夏休み明け直後の平日ランチ時、告知無しという好条件もあってか、ギャラリーが溢れ返って大パニックになるような事は無かったけども、警備員やポリスメン、広告マン、スタッフの多さから、「超一流芸能人の仕事」というものを垣間見た気がする。店舗のガラス越しからチラチラと姿は確認できたのだけど、良くも悪くもホントにテレビのまんま。↑のポスターと同じく、みんな黒いスーツでビシッと固めていましたが、身長が高いだけにシンゴちゃんが一番カッコよかった。KTは終始リラックス・モードだったご様子。かなり髪が伸びていて、顔はサーフィンで程よく小麦焼けしていました。ゴローちゃんは相変わらず完璧なヘア・スタイリング。中居くんはほとんど確認できずじまいで、ネイキッド草彅くんはギャラリーに手を振ってあげてました。やさしいねー。

それにしても、あの撤収の早さとオーガナイズの上手さといったら! 店内にメンバーの姿が見えにくくなったので、「そろそろ正面から出てくるぞ!」と惑わせておいて、気付いた時には横の裏道からメンバーを乗せたバンがスーーッと出て行くという、とんでもないミラクル早業に驚愕。ジャニーズの早着替えは、こんなところにも活かされているのですね。携帯のカメラをかざしたギャラリーを、すかさず制止する警備員やスタッフの俊敏さであったり、仰々しい機材の数々であったり、タレントがプロならスタッフも当然プロ。ギョーカイの凄まじさの一辺に触れた、貴重なデイタイムでした。(べ、べつにサボっていたわけじゃないんだからね! 勘違いしないでよね!)