FRF'09【7.26sun DAY 3】2名のハーバード大卒と、7つの単音リフでサニーJ・サービス 編

終日は、ベースメントまでは<グリーン>と<レッド>の出演アーティストがほとんどどうでも良かったので、前半はかなりまったりめ。早めに会場入りしてマスドレをちょっと観て、朝食。続く噂の韓国バンド、クライング・ナッツのどこのライヴ・ハウスですか? と言わんばかりのガラガラぶりに爆笑。その後、<ホワイト>のホーリー・ファックはもう捨てて最初の大本命、SSSCへ。お揃いのTシャツ&ナポレオン・ジャケットという組み合わせも然ることながら、スキンヘッドにレイバン着用というトム・モレロの御姿は、まるでマッカーサー元帥のよう。昨年の金曜<ホワイト>でギャラクティックのゲスト・ヴォーカルとしても参加していたブーツ・ライリーは、ザック・デ・ラ・ロッチャどの気迫は感じられないものの、かなりエッジの効いたライムが小気味良い。M.I.A.の“ペーパー・プレーン”というおいしいカヴァーもありつつ、クラウザーさんばりの「歯ギター」まで飛び出したモレロの変態ギター・テクに酔いしれる。終盤の、彼のアジテーションなMCもファッキン最高でした。ここで1ハーバード。

<キッズ・エリア>のかき氷を食べ歩きしながら、しばらく奥地での滞在を決め込む。<オレンジ>にて昨日のファナのリベンジを果たし、<ヘブン>のDachambo、<ホワイト>のエアボーン・トキシック・イベントを遠目に鑑賞。頭脳警察は一発目から“ボーン・トゥ・ビー・ワイルド”というダサさっぷりに辟易したか、ンパンだった一見さんと思しきオーディエンスがぞろぞろ移動を始める。で、再結成3度目? のライヴであるサニーデイ・サービス。ここでまさかの局地的豪雨。曽我部さんの声がヘロヘロでしたが、ギターの鳴りはかなり良かった。また<オレンジ>へとバックし、SOUL FLOWER UNIONのお祭り騒ぎを聞きながら、最果ての<カフェ・ド・パリ>や<ストーンド・サークル>まで足を伸ばし、レイドバックしながら写真撮影。<ヘヴン>にて、やっぱりあんまり好きになれないROVOを鑑賞しつつ、久しぶりの<ホワイト>へ。ここからは超・本気モードです。

自称「晴れ男」とのことで、三日月さえも呼び寄せた高橋幸宏のステージ。客演のコーネリアス小山田圭吾のほかにも、ドラマーが千住宗臣だったり、キーボードが売れっ子の堀江博久だったり、さすが元YMO! と感嘆を漏らさずにはいられない豪華絢爛な布陣。いつもの通りハット&眼鏡&チョビ髭という出で立ちのジェントルな高橋さんはもとより、辻川幸一郎ちっくのキュートなVJといい、アダルトで洒脱でアーティな世界観が、ひんやりとした空気の<ホワイト>にぴったりでした。ウラに特別観たいアクトもいないし、アニマル・コレクティヴは前方で拝みたかったので、椅子に座ってしばしその時を待つ。相変わらずディーケンが不在だったが、1年半ぶりの彼らは明らかに佇まいや風格が落ち着いていたように見えた。深海にいるかのような明度の低いライティングに照らされ、ニュー・アルバムの中でもとりわけポップなナンバーを中心に展開していく。じわりじわりと熱を帯びていった演奏が中盤に差し掛かり、もはや伝説となった長尺アレンジの“ファイヤーワークス”へ突入。PAとステージの間ど真ん中という絶好のポジションで、全身で音の洪水を浴びた所為か、脳味噌をぐっちゃぐちゃにかき混ぜられたような錯覚に陥る。圧倒的な多幸感と、底無しの祝祭感。どんなに賛辞の言葉を並べても足りないくらい、本当に本当に素晴らしかった。最終日の<ホワイト・ステージ>という魔力を持ったシチュエーションも大きく加担したはずだが、トップクラスのDJたちが3時間かけてオーディエンスを連れて行こうとする世界まで、アニコレはものの1時間とかからなかったのだ。もう野外でしか観たくないぜ。

もうお腹いっぱいと思いつつも、せっかくなんでウィーザーをチラ見するために<グリーン>まで足を伸ばしてみる。“ハッシュ・パイプ”のギター・リフに導かれるまま到着すると、昨年の単独公演時のマリオのような髭ファッションからはすっかり足を洗い、ナードなメガネくんスタイルに戻っていたリヴァース・クオモ。ここで2ハーバード。また一段と日本語が上手くなっていて、後日談だがレディー・ガガやブラーやホワイト・ストライプスのほかにも、日本のナショナル・アンセム“君が代”までカヴァーしたらしい。やりすぎ。ちょうど“パーフェクト・シチュエーション”や意外に良かった新曲を聴けたりしたので、心置きなく<ホワイト>へカムバック。巨大なラジカセのバック・フラッグを背後に、遂にこの<ホワイト>にて大トリを飾ることになったロイクソップ。「ホントニホントニホントニアリガトゴザイマース!!」と、超ハイ・テンションなトルビョルンにオーディエンスも若干引き気味。スヴェインのコスプレや女性ゲスト・ヴォーカルなんかも面白かったんだけど、前出のアニコレが良すぎたせいか、あまり入っていけず。ある程度のところで見切りをつけ、2009年度の<フジ・ロック>最後の大騒ぎをすべく集団で<グリーン>に向かう。ここ数年不発だったクロージング・アクトだが、今回は<グラスト>でも6万人以上を踊らせてきた最強のパーティー・バンド、ベースメント・ジャックスだ。悪くなるはずがない。で、結果、超・超・超・最高。初っぱなから“グッド・ラック”は反則でしょーに。入れ替わり立ち代わりのヴォーカルに、どんどん増えていくステージ登壇者。フェリックス自らヴォコーダー・ヴォイスでマイクを執った話題沸騰中のブランニュー・チューン、“レインドロップス”は、もはや今年を代表するアンセムとして恥じない出色の完成度。前出のウィーザーに対抗して? サックスで“セヴン・ネーション・アーミー”のリフをカヴァーしたりも。気付くと20名以上もの人間が踊り狂っているステージに負けじと、最後の体力を振り絞るフジロッカーたち。大団円とはこのことか。唯一無二で酒池肉林の、最強のダンス・レビューでござんした。大満足。

もはや絞り滓程度しかない体力で、惰性で観るつもりだった深夜<レッド>のサニーJはハイトーン・ヴォイスの黒人女性ヴォーカルが凄くて、ついつい小躍り。しかも、ここでも“セヴン・ネーション・アーミー”が使われていて、つくづく「2000年代最強のギター・リフ」なんだなーと痛感。その後は<パレス>にあるジョー・ストラマーのバスや、「世界で一番小さいナイトクラブ」などで遊んでみる。どいつもこいつも名残惜しそうだ。かくいう俺も、再び<レッド>に戻ったりして、卓球のDJに朝6:00まで付き合いました。4日間の合計睡眠時間、なんと12時間未満。さすがに身体が終了のお知らせ。最後の車中泊後、またしても雨の中でテント撤収を手伝い、苗場プリンスホテルに集合して(もちろん、ベンジーも)バスで都内まで帰宅。苗場の快適さが骨身に沁みる、下車後のうだるような湿気は忘れられない。そして、皆それぞれの現実へと帰還していくのであった……。来年も死んでも行きます。あ、みんなでカラオケBOXあたり借りて、巨大プロジェクターでフジのDVD鑑賞会やりませんか?

おわり

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