ダディーは世界一

『SHOWBIZ COUNTDOWN』にて、THE HANGOVER(日本公開中止ってどーゆーこと!?)と共に驚異的な連続トップ10入りを記録していたのも印象的な、リーアム・ニーソン主演の『96時間』(原題:TAKENを観ました。『24』シリーズのファンを呼び込もうと画策したのか(事実、ジャック・バウアーがナレーションの予告篇がある・・・)、原作へのリスペクトやボキャブラリーの欠片も無いファックな邦題を付けた関係者にはガッカリですが、それを差し置いても、破格にすんばらしい映画でした。もう手に汗握りっぱなし。

人身売買を生業とする組織に誘拐された愛娘を、元CIAの最強パパが自ら助けに行くというプロットに目新しさは感じられないものの、敏腕スタッフによる驚愕の編集力と構成力で、息をも付かせぬスリリングな映像に仕上がっています。主人公の立ち位置や能力、娘(あるいは元嫁とその再婚相手)との関係性、犯罪組織の存在などは、多くを語らずともコンパクトに観客に理解させることに成功。そのため、アクション・シーンや銃撃戦、カーチェイスなどド派手な演出と見せ場には予算も時間もたっぷり。特に、パリ市街地をアウディで逆走しまくるカーチェイス・シーンですが、先日観た『MW』の序盤で繰り広げられた、作り手のオナニーでしかない長くて単調だった爆走シーンとは好対象。これは、絶対に劇場で観なくてはならない作品と言えるでしょう。伏線をきっちりと回収したエンディングもお見事。

それにしても、マフィアの黒幕が、肥え太って禿げ散らかした下劣なジジイ(もちろんバス・ローブ)というステレオタイプな設定にはやや失笑するものの、娘が攫われた直後、犯人に電話越しで宣戦布告を突きつける緊迫のシーンは、今後、クライム・ムービーにおける語り種になるはず。シビれた。まあ、いくらなんでもあれだけ他所の国で暴れて、一般市民を巻き込んでおきながら、何のお咎めも無しというのは虫が良すぎますが(笑)。ていうか、パパ強過ぎ。本作を観賞後、あなたは、たったの90分しか時間が経過していなかったことにきっと驚くでしょう。それぐい濃密で、スピーディーで、かつシンプルに楽しめる久しぶりの良作です。余談ですが、スウェーデンのあのバンドの曲も爆音でかかりますよー。

No comments:

Post a Comment